第143回 六人の嘘つきな大学生

『教室が、ひとりになるまで』でミステリー界の話題をさらった浅倉秋成さんが書かれた就職活動を舞台にした小説です。

急成長中のIT企業が初めて行う新卒採用。5,000人の応募者の中から最終選考に残った学生は六人。最終選考で六人に課せられた課題は「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は一転、一つの席を奪い合うライバルに。

内定を賭けたディスカッションが進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

「なるほど、そう来たか!」とこちらの予想を大きく裏切り、そして伏線回収の秀逸さが光るミステリー小説です。舞台が就職活動なので、採用担当者さんなら情景がリアルにイメージできて、感情移入もしやすいと思います。

また、採用活動や就職活動の本質を突いてくる表現もあり、読後に、採用活動を根本から見直してみるのもいいかもしれません。採用業務で多忙を極める中、癒しのひとときを与えてくれる一冊です。