第147回 こうして社員は、やる気を失っていく。

「なぜこの仕事をやらないといけないんですか?」 若手社員のこの言葉にイラっとする上司。「いちいち意味なんて聞かずにやれよ」と。お気持ちはよくわかります。しかし仕事の意味さえ理解したら、後は自走し始めます。

心理的安全性、OKR、1on1、ピアボーナスなど、社員のモチベーションを高める人事施策は様々あり、取り入れている企業も増えています。しかしそれよりもまずはモチベーションを下げないことを徹底すべきだというのが著者の主張です。

この「何をすればモチベーションが下がるのか」がこの本の中心部分となっています。特にやる気を大きく失わせるのが、管理職の逆ロールモデルです。部下に残業をさせないよう1円も残業代がつかない管理職に仕事が集中し、大きな責任と重圧を押し付けられている名ばかり管理職の存在です。

何の権限もなく1円の残業代ももらえずに毎日疲れ切った顔で長時間労働をしている上司の姿を見て、若手は「自分の〇年後の姿はあれか。あんな風にはなりたくない。この会社に未来はない」と今の会社でのキャリアに失望し転職を決断します。

流行りの人事施策に飛びつく前に、このような社員のやる気を下げている要因を特定し、潰していくことが先決です。