第19回 大手志向は学生だけの責任ではない。

学生の大手志向化が問題視されていますが、それは現状の中小企業の採用活動では仕方がないと思っています。

それは、中小企業は情報発信に積極的ではなく、学生にわかりづらく応募しづらいからです。何をやっている企業かわかりにくい、どんな人が働いているかわかりにくい、財務状況がわかりにくい、企業理念や将来ビジョンがわかりにくい・・・。CMをたくさん出している大手企業は、何をやっている会社かわかりやすいですし、実際自分でもその会社の製品やサービスを使っている可能性が高く馴染みもあります。CMを出していなくても、上場企業ならIR情報を見れば、その会社が何をやっているのか、財務状況など詳しく発信しており、それらを見ればおおよそ理解できます。

このように“何をやっている会社か“わかりやすい会社とわかりにくい会社では、わかりやすい会社に学生が群がるのは当然です。逆の立場で考えてみれば、大切な自分の人生を、何をやっているかわかりにくく、財務状況もわからない会社に入社しようと思いません。たとえば、未上場企業は、財務状況に公開の義務がなく一般的には見えません。東京商工リサーチや帝国データバンクなどの調査会社のレポートを手に入れなければいけませんし、その内容にどれほど信憑性があるかも疑問です。また、そういった調査会社に対しても完全に非公開にしている企業もあります。それはそれで企業のスタンスですから全く問題無いと思いますが、人を採用をするとなった場合は話は別です。

最近、就職課などでは「就職サイトに掲載していない企業も実は新卒採用をしてるんだよ」という指導をしていますが、就職サイトだけでも何千件もの企業が掲載されているのに、よっぽどの有名企業、人気企業でないかぎり、わざわざよくわからないそれ以外の企業を受けようなんて思いません。良い学生を採用したいなら、もっと積極的に情報発信し丸裸になることです。それが学生の目を中小企業に向ける一番の方法であり、早期退職の低減にもつながると信じています。