第23回 ターゲットは狭く、そして深く。これが採用の近道です。

先月、経済同友会が新卒採用に関する提言を発表しました。
内容のひとつに、企業が求める人材像や採用基準を明確に示すよう求める項目がありました。エントリーシートの応募条件に専門知識や語学能力、大学での履修内容の記入などを課すほか、出身大学など過去の採用実績を開示すれば、新卒の応募が大企業に集中し就職活動が加熱するミスマッチを改善できるとしています。

昨年は、45万人が就職を希望しましたが、大手企業に就職できたのは7万人でした。人気企業に数万人の応募が殺到する一方、中小企業への応募は少なく、求人数は求職者を上回っているにも関わらず、毎年10万人近い就職浪人が出ています。この背景は、安定を求める学生の根強い大企業志向だけでなく、企業からの情報発信不足もあると同友会は指摘。学生が自ら適正を判断できる材料を詳しく示すべきとしています。

これらの提言には、私たちも大賛成です。求める人材要件を明確に打ち出すことで学生は、「これは私のための求人だ!」「私はこの会社に必要とされている」と嬉しくなって、今まで知らなかった企業へも応募意欲が増すでしょう。人は自分が必要とされれば嬉しくなるものです。恋愛でも、今まで全然意識をしていなかった異性に告白され、そこから妙に意識しだすことがありますが、それと同じです。

ですから、採用広報の打ち出し方も、「誰でも大歓迎!」というような漠然とした内容ではなく、「これができる方、こんなタイプの方ならうちで活躍できます。ぜひ来てください。それ以外の方はうちには合わないでしょう」。これくらいの打ち出し方が必要です。母集団を増やすために、広く受け入れられようとすればするほど、本当に必要な学生に見逃されてしまいます。ターゲットを明確化し、その心を動かす広報が必要です。

採用活動を始める前に、「誰に/ターゲット学生」「何を/ターゲットにとっての自社の魅力」「どう伝えるか/広報手段・打ち出し方」をじっくり考えるようにしてください。もしくは、私たちと一緒に考えていきましょう。