第24回 人を見分ける力に自信がある人ほど間違った人事を行う。

4月になり、多くの会社で新入社員が入社され、フレッシュな風を吹き込んでくれているのではないでしょうか。新入社員を見ていると、私たちも初心に戻ることができ、気持ちが引き締まります。どんな社会人になるか今から楽しみですね。

さて、皆さんの会社では、新入社員の配属はもう決定していますでしょうか。内定出しの時点である程度決定している場合もあれば、新人研修での取り組みを見て、正式に決定される場合もあるでしょう。どちらにしても、この配属決定は今後の経営においてとても重要になります。ピーター・ドラッカーの有名な言葉に、「正しい人事のために4時間かけなければ、あとで400時間とられる」とあります。ですから、人事決定の際は、イメージだけで決定するのではなく、細かく何度もシュミレーションをし、その時最適だと思う人事決定をしなければなりません。

しかし、それは配置転換や新規事業の抜擢などには当てはまっても、未知なる新卒の配属には難しいかもしれません。面接や新人研修だけで、すべてがわかる訳ではありません。実際に働いてみないと分からないことがほとんどです。これもドラッカーの有名な言葉に、「人を見分ける力に自信がある人ほど間違った人事を行う。人を見分けるなんてことは、限りある身の人間に与えられた力ではない」とあります。

失敗の少ない採用・配属を行っている人事部は、この「人を見分ける力などない」という前提のうえですべて決定しています。自らの知識や眼力を過信することはあってはいけないのです。「俺は数秒しゃべっただけでそいつができる奴かどうかくらいわかる」と豪語する人ほど採用の失敗確率は高く、「私なんかに面接なんてできるのかな。心配だ」、「人事歴20年だけど、採用だけは本当に難しい」という人ほど、失敗しないようにしっかり準備したり、面接マニュアルに沿ってきっちり行うため、失敗の確率は低くなるそうです。

採用・配属においては、人事のプロの方でも過信せず、「自分には人を見分ける力は無い」という前提で行うことが大切です。