第25回 就職戦線異状なし

織田裕二主演、槇原敬之の大ヒットソング「どんなときも」が主題歌の映画「就職戦線異状なし」の原作です。空前の売り手市場と言われたバブル期に、就職活動に奔走する若者の姿をリアルに描いています。

優秀な学生の青田買い、内定者フォローでのVIP接待、面接には全員交通費支給、研修名目の海外旅行など、バブル期の就活を知らない私たちにとっては、衝撃的な内容が多く、当時の就活を知る貴重な一冊です。

バブル期に就活を体験された方は、当時を思い出しながら懐かしい気持ちになれるのではないでしょうか。現在でも、どうしても逃したくない学生には有効な手法もあり、参考になると思います。

苦労知らずと言われるバブル期就活組みも、やりたいことが見つからずに悩んだり、有名企業に内定獲得した友人への嫉妬など、壁にぶつかりながらそれを乗り越え、就活を通じて大人の階段を登っています。

また、学生の大手志向は今もバブル期も変わらないようでした。今の学生だけが大手志向と批判されるのは少しかわいそうな気がします。今の学生がこの小説を読むと、どんな気持ちになるのか興味があります。