第61回 匿名ネット掲示板全盛期より、採用活動がしやすい時代。

インターネットでの就活が主流になってから、いくら魅力的な求人広告を作成しても、説明会が面白くなかったり、面接官や受付の態度が悪かったりすればスグにネット掲示板に書き込まれ情報が広まるようになりました。社内の雰囲気やトイレの清潔さなどの細かい情報までもが書き込まれ、応募数の激減や内定辞退の続出など、採用活動に大きな支障が出るようになりました。

また、どれだけ魅力的な説明会を開き、学生対応に気をつけても、ライバル企業や退職した元社員などが、嘘やデマの情報を書き込むこともあるからやっかいです。しかし、現在の学生は、それらの情報をすべて鵜呑みにすることは少ないようです。今の就活生はデジタルネイティブ世代。物心ついた頃からインターネットに慣れ親しみ、これまでの人生で、ネットの情報は嘘やデマもあることを熟知したうえで向き合っています。

ただ、友達からの口コミ情報に関しては素直に信じる傾向にあります。いくらネット社会が発達してもこれは昔から変わらない傾向です。変わったのは口コミのスピードと質。ネット時代前の口コミは、直接FACE TO FACEで伝達していくものでした。現在はTwitterやLINEといったSNSサイトやアプリが登場し、瞬時に複数名に信頼できる情報が拡散されるようになりました。スピードでいえば、匿名の掲示板と変わりませんが、友達同士なので、嘘やデマが少なく、良いことも悪いこともすべて本当の情報で構成されているという点で質が圧倒的に違います。

友達がTwitterに流す会社説明会や面接官の態度などがネット掲示板と真逆の場合は必ずTwitterを信じます。いくらライバル企業や元社員、不採用になった学生がデマを流しても、きちんと採用活動をしておけば、友達同士のコミュニティの中ではきっと良い情報が拡散されます。企業側も少し前までの匿名の掲示板の情報に右往左往する必要はなくなってきています。

知名度が高まれば高まるほど、注目が集まれば集まるほど、ネットで書き込まれる可能性は高まります。しかしそれを恐れてPR活動を怠ると良い学生の採用はできません。今の学生の情報リテラシーを信じ、臆することなくしっかり学生へPRし、丁寧な対応をすれば、匿名掲示板全盛期より、採用しやすい時代であると言えます。