第79回 日祝休み、17時閉店の美容室。

はりまっち便り9月号で、「労働条件を変えれば、採用力も企業力もアップする」というコラムを書きました。サービス業でも土日を休みにすれば、良い人材が集まるといった、机上の空論、極論を述べました。書いた後に、実際にそういうサービス業はないのかいろいろと調べてみると、ありました。日祝休み、17時閉店の美容室が。CEPホールディングスという会社が運営する美容室です。同社は、東日本を中心に10ブランド、約80店舗の美容室を展開。そこで働く美容師さんの約8割がママさんスタッフだそうです。有給休暇はパートのスタッフも取得でき、取得率は9割超えだそうです。

確かにこんな美容室なら人材は集まるでしょう。では、肝心の経営はどうなっているのか。これまた上手くいっているそうです。「17時閉店、日曜・祝日定休」というコンセプトが、主婦層へ共感を呼び、ブランド化させることに成功しました。「平日の日中に、ちょっと空いた時間できれいになりたい」という主婦が殺到しているようです。美容師もお客様もママ同士ということもあり、育児や主婦の苦労話で盛り上がることも多いそう。「若いスタッフばかりの美容室には入りにくい」というお客様も、同店なら安心して入れます。こういったお客様と、「技術はあるけど、働く時間が限られている」という美容師経験のある主婦との、まさにベストマッチングですね。

また、地元の姫路でもありました。常に食べログラーメンランキング上位にランクインしている「一徹らーめん」は週休3日、「ジャパンラーメン高嶋」は週休2日です。それが希少価値を高めて、営業日にはお客様が行列をつくります。
休みなく疲れきったスタッフより、しっかり休みをとって、元気いっぱい活き活きとしたスタッフに接客されるほうが、きっとお店は繁盛します。店舗自体を土日休みにするのは難しいかもしれませんが、社員を多めに採用し、交代で順番で必ず土日休みが取れる体制作りなら、今スグにできるのではないでしょうか。人件費を低くおさえるために、少ない社員に長時間働かせて利益を得るという経営スタイルは、もう限界にきているのかもしれません。

サービス業なら土日は社員総出という常識を、勇気をもって覆すことが、これからのサービス業の経営には必要になってくるのではと考えています。社員の数も質も充実させ、お客様に満足を提供し、適正な利益をいただく。この原点に還るときがきています。