第80回 大事な会議の日に、37.5度の熱で休む部下の対応

TV朝日の番組「橋下×羽鳥の番組」で、「大事な会議の日に、37.5度の熱で休もうとする部下に対してどう対応するか」というお題で議論が展開されました。出社させるべきという橋下徹さんに対し、休ませるべきだと芸人の厚切りジェイソンさんが反論し議論は白熱しました。

この結論だけ聞くと、出社させる派は厳しくて、出社させない派は優しいように思えますが、彼らの考え方は間逆でした。出社させるべきという橋下さんは、「ここで出社を強要したら、パワハラで訴えられてしまうかもしれない。だけど、そのリスクを背負ってでも、出社させるほうがこの部下のためになる。休ませるのは上司の保身だ」と主張しました。部下を想うからこそ、出社させるという意見ですね。

逆に厚切りジェイソンさんは、「本人が熱があるって言ってんだから休ませたらいい。でも、こんな奴絶対に出世させない」と、ドライな主張を展開しました。それに対し橋下さんは、それだと部下の教育を放棄している。こういう部下にも、大事な会議を休むことで、どれだけの人が迷惑しているのかをしっかり指導すべきだと述べました。双方の議論を聞いて、厚切りジェイソンさんが主張する対応のほうが上司としても楽ですし、リスクも少ないように感じました。部下にエネルギーを使うことも、パワハラで訴えられることもありませんし、人事評価で対処するだけですから大変合理的です。部下の今後のことを想って、指導の一環で出社させた結果、パワハラで訴えられて、人生を棒に振るリスクは大きいですからね。

結局橋下さんも、最終的には厚切りジェイソンさんの意見に賛同し、日本もグローバルスタンダードとか、成果主義、実力主義を導入するなら、こっちの考え方に変えていかないといけないと認めていました。理屈では納得がいきますが、実際日本がそんな社会になったらと思うと、正直モヤモヤしたのもの事実です。部下を想う気持ちより、自分の保身を優先する社会になり、おせっかいという愛情や教育がなくなってしまいます。ちょっと寂しいですね。でも厚切りジェイソンさんは、最後にこう付け加えました。

「ドライでアメリカ的なやり方のほうが、企業は伸びる。しかし、人情味があって日本的なやり方のほうは、企業が長く残る」と。なるほど。これは考えさせられましたね。世界では保護主義の流れがきている今、果たしてどちらが正しい選択なのか。グループディスカッションの議題にしても面白いかもしれませんね。