第87回 価値観の合わない人には何を思われても気にしない。

カラーや個性の強い会社、名物社長のいる会社、独特の価値観を持っている会社などの人事担当者さんは、自身はそのカラーが好きであっても、それを打ち出し過ぎると「学生が引いてしまうんではないか」と恐れて、無難な説明だけに終始される方もいらっしゃいます。

その背景には、会社説明会後のアンケートやインターネットの書き込みなどで、自社の価値観と合わなかった一部の学生に、その独特のカラーを悪く書かれた経験があったり、説明会後に選考を受ける学生の割合が低く、上層部からその指摘を受けたことがあったりする場合です。ターゲット外の学生に何を言われようとも気にせずに、たとえ少数でも欲しい学生だけに響けばいいのです。自社の価値観を隠して採用しても、入社後確実にミスマッチが起きます。合わない学生の言葉に踊らされてしまっては、ターゲットの学生まで離れていってしまいます。

あの国民的人気芸人、明石家さんまさんは、好きな芸人ランキングは当然の1位ですが、嫌いな芸人ランキングでも5位に入っています。嫌いな人の意見としては、「司会者なのに目立ち過ぎている」「うるさい」「リアクションがうざい」「ノリがめんどくさい」などが挙げられますが、それが、さんまさんの芸風です。もしさんまさんが、その嫌い派の方の意見を取り入れて、芸風を変えてしまったら、「最近のさんまはおもんない」と、元々のファンまで離れていきます。嫌いな人、合わない人に遠慮していては、本当のファンまでをも失うことになってしまいます。

先日、志望企業から不合格通知を受けた学生が、逆恨みしてネット掲示板にその会社の担当者の悪口を書き込みました。するとその直後に、その会社を愛する他の学生が「逆恨みでそんなこと書いて恥ずかしくないのか!」「●●さんの悪口を言うな!」と次々と擁護していたのです。今の学生は、ネットリテラシーが高く、匿名の書き込みを鵜呑みにする学生は少数です。今回のケースのように、きちんとした対応をしていれば、嘘や悪口を書き込まれても、貴社のファンが必ず救ってくれます。合わない人の意見は聞き流しましょう。