第91回 採用学


採用学 (新潮選書) 服部 泰宏

採用活動の歴史から採用のノウハウまでが詳細に書かれた、まさに学問といえる一冊です。採用に関わる方なら読まれた方も多いかもしれませんね。採用担当者さんのバイブルと言っても大げさではないくらい素晴らしい本です。

著者がこの本を通じて最も伝えたかったことは、序章と最終章で繰り返し述べている「優秀さを創り出す」ことだと思います。「コミュニケーション能力や主体性があれば優秀」といった世間一般の常識ではなく、「自社にとっての優秀とは何か」を定義することで、競合に負けない採用活動ができるといいます。つまり、採用を成功させるためには、他の会社では評価されない能力でも、自社にとっては評価できる能力を見つけることが大切だと伝えています。

メジャーリーグ球団のアスレチックスも、独自のスカウト戦略(採用基準)を設け、他球団は見向きもしないような選手を次々と獲得しました。そして彼らが活躍することにより、アスレチックスは弱小チームから強豪チームに急成長しました。これも「自分たちにとって優秀さとは何を指すのか」を定義した成果です。すべての会社でこの考え方が広まれば、内定の一極集中化がなくなり、採用活動が楽になるかもしれません。