人事担当者向けオススメ本

第96回 引き抜き屋

ヘッドハンティングという仕事を通じて、ビジネス界のかけひきや裏切り、経営とは何か、働くとは何かなど、いろいろと考えるきっかけになるビジネス小説です。上下巻ありボリュームはありますが、採用担当者様ならイメージしやすくスグに読み切れると思います。

父が創業したアウトドア用品メーカーに勤める鹿子小穂(かのこ さほ)は、創業者一族ということもあり、若くして本部長、取締役となりました。しかし父がヘッドハンターを介して入社させた中途採用者と意見が合わず、取締役会の評決を機に、会社を追い出されてしまいます。そんな小穂を拾ったのが、奇しくもヘッドハンティング会社の経営者……。新米ヘッドハンターとして新たな一歩を踏み出した小穂は、プロ経営者らに接触し、彼らに次の就職先を斡旋する仕事のなかで、経営とは、仕事とは何か、そして人情の機微を学んでいきます。

企業経営を前に進めるためには、ヘッドハンティングも有効な採用手法ですが、この小説のようにヘッドハンティングはトップシークレットでおこなわれることも多く、納得のいかない既存社員との軋轢が生まれ、逆に組織が混乱してしまうケースもあるため注意が必要です。

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第97回 アクセンチュア流 生産性を高める「働き方改革」

「残業はどれくらいありますか?」
「休日出勤の頻度を教えてください」
「有給休暇の取得率は?」
今、多くの採用現場では、学生や求職者からこのような質問が飛び交っています。
決して、売手市場だから強気に出ているわけではなく、景気がどうであれ、今後もこのような質問は増えてくると考えます。これらの問いに対し、きっちり答えていかなければ、優秀な人材の確保は難しくなっていくでしょう。

働き方改革は、残業や休日出勤を減らすだけでは意味がなく、並行して業績を上げ続けることが至上命題です。勤務時間内に仕事が終わらなかったら、途中で投げ出して帰るのではなく、どうやったら時間内に終わらせられるか、知恵を絞り続けなければいけません。残業でカバーするほうが遥かに楽に感じるくらい大変なことです。

「●●さんは深夜でも休日でもスグに連絡が取れるから信頼している」ではなく、「●●さんは18時以降は一切連絡が取れないけど、●●さんじゃなきゃだめ」。そう顧客に思われる働き方が今後は求められます。当書はそんな働き方改革のヒントが得られる一冊で、アクセンチュアの取組み、成功事例が細かに書かれている実践的な指南書です。

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第98回 「WHY型思考」が仕事を変える

著者は、大ベストセラー「地頭力を鍛える 問題解決に活かすフェルミ推定」の著者 細谷功氏。普段仕事に追われていると、手段が目的化してしまいがちですが、「そもそもこの仕事って何のために(なぜ)やってんだっけ?」と、目的に立ち返ることで、本質的な仕事に専念できます。

たとえば、できない営業マンは、お客様から「これ欲しいんだけど、在庫ある?」と聞かれたときに「ありますよ!明後日お届けしますね」となりますが、Wyh型思考ができる優秀な営業マンは、「何にお使いですか?それなら、この商品のほうがお勧めですよ」と返すことができ、より顧客満足を高め、自社の売上向上につなげることができます。

採用活動でもこのWhy型思考はとっても大切です。採用活動では、「採用目標」や「KPI」、「どの媒体がいいか」などに意識がいきがちですが、それより大切なのは「採用目的」です。「なんのために採用するか」、この採用目的を明確にしてこそ、「求める人材」が決まり、「自社らしさ」が洗い出せ、どんな広報活動や選考方法が適しているのかが決まってきます。

「なぜ?」という質問は、他人にすると棘がありますが、自身に向けることで、本質を見失うことが少なくなり、仕事の質も高まります。

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第99回 言葉にできるは武器になる。

「世界は誰かの仕事でできている。」「この国を、支える人を支えたい。」など、数々の名コピーを生み出した梅田悟司氏の著書。「言葉にできない」ことは、 「考えていない」のと同じである、と梅田氏は言い切ります。

その思考を深めるために梅田氏がお勧めしているワークが「T字型思考」です。やりたいと思っていることや、仮説、ふと頭に浮かんだことなどについて「なぜ?」「それで?」「本当に?」と質問を自分に投げかけ、思考を深めるという方法です。

会社説明会や面接などで、学生から想定もしない質問が飛んでくることがあります。すべての質問を想定することは不可能です。普段からこのT字型思考を実践し思考を深めていれば、どんな質問にも慌てず、自分の言葉で伝えられるようになります。

特に頭が良く、本質を見抜く力のある学生なら、こちらの説明に対して、「なぜ?/なぜこの事業に進出したんですか?」「それで?/強みは理解しました。で、今後のビジョンは?」「本当に?/シェアNo.1というのはどこ調べですか?」など3つの質問を展開してくると思います。説得力のある回答をするには、普段からこの3つの質問を自らに投げかけ、思考を深めておくことが必要になります。

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第100回 人事よ、ススメ!

スターバックスやサイバーエージェントなど人事界で一目置かれている企業の事例や、人事の専門家の研究内容などが一冊にまとめられた良書です。全章参考になりますが、特にスターバックスの事例は、目から鱗が落ちました。

スターバックスには接客マニュアルがなく、スタッフが自発的にその場その場で考えて行動し、お客様に感動を与えています。それを実現させるために大切になってくるのが採用と育成です。採用では、スターバックスのビジョンや理念に共感できるかどうかを時間をかけてジャッジします。そして採用後は店舗と個人のビジョンのつながりを明確化する「ビジョニング」を行い、そのビジョンを実現するためのフィードバックを行います。このサイクルを回すことで、スタッフのエンゲージメント(組織との繋がり)が自然と高まり、マニュアルが無くても自発的に行動できるスタッフが育つそうです。まさに理想のカタチですね。

採用、育成はビジョンがあってこそです。逆にビジョンさえ共有できていれば、後の細かい行動は思い切って個人に権限委譲しても大きな問題は起きにくくなります。日々の行動に迷ったときもビジョンがあれば立ち返ることができ、その場で適切な判断ができるようになります。