人事コラム

第102回 離職率の低い会社が、良い会社とは限らない

頑張っている社員と頑張っていない社員、成果を出している社員と出していない社員。どんな社員であれ居心地よく会社に居続けることができる社風は、一見平等に見えるかもしれませんが、頑張っている社員にとってはとても不公平です。

若者雇用促進法が制定され、3年未満の離職率を明示する企業が増えてきました。選択項目であるため、離職率の明示は義務ではありませんが、その数値が低い企業は積極的に打ち出しているため、書いていない場合は、必然的に「この会社は離職率が高いから書きたくないのかな」と疑われてしまいます。求職者にとって離職率は、企業を探すうえで重要な指標であり、その数値が低ければ漠然と「良い会社」と映るため、採用活動において離職率の低さは武器になります。

しかし健全な経営を目指すなら、離職率の数値だけにこだわらず、「誰が辞めて」「誰が残っている」のか、その数値の中身をきっちり見る必要があります。大切なのは離職率の数値ではなく、頑張っている社員、会社にとって辞めてほしくない社員が辞めないことです。仕事を真面目にせずに何も貢献しない社員でも、居心地よく居続けることができる会社なら離職率は低いかもしれませんが、その生ぬるい社風がゆでガエル現象となり、気付いたときには取り返しのつかない経営悪化を招いているかもしれません。

そういった社員は、毎年期待に胸を膨らませて入ってくる新人を捕まえては、「頑張っても一緒だよ」などと吹聴してまわったりする可能性も高く、いくら採用活動を頑張って優秀な学生に入社してもらっても、その社員に毒されてしまっては本末転倒です。そういった社員には、離職率が高まっても、退場していただくのも健全な会社経営には必要です。

世界的ベストセラー「ビジョナリー・カンパニー」でも、世紀を超えて影響を与え続ける一流企業は、誰にとっても働きやすい会社ではない。合わないものは病原菌か何かのように追い払われると書かれています。求職者にも、離職率の低さだけで会社を見ないように指導していきたいです。