人事コラム

第91回 学生の声に正直に応えてはいけない。

今年初めて新卒採用にチャレンジした、ある会社の人事担当者さんから聞いた話です。

会社説明会で社長と総務部長が登壇し、会社のビジョン、ビジネスモデル、競争優位性などを交えて、自社の魅力を分かりやすく学生へ伝えました。そして説明会終了後のアンケートを見てみると「若手社員の話も聞きたかった」「もう少し具体的に日々の仕事内容を知りたかった」という意見が多かったそうです。

そこで次の説明会では、学生の声を取り入れ、若手社員を登壇させて、日々の具体的な仕事内容などを詳細に伝えてもらうことにしました。するとアンケートでは「もう少し競合との違いを知りたかった」「将来性や今後のビジョンを聞きたかった」という意見が多くあり、結果的に社長と総務部長で挑んだ説明会の方が選考に進む学生は多かったようです。

確かに学生は、どんな社員がいて、毎日どんな仕事をするのかを気にします。しかしそれを鵜呑みにして、そこだけを強調しては、強い入社意欲は沸かないという矛盾が待っています。人間は、与えられたものは当たり前に感じますが、与えられなかったものに対して不満を持つものです。一つの要求に応えたら、また次の要求が生まれるだけです。そんな学生の声に惑わされずに、本当に伝えるべきことは何なのか、 本質を見失わないようにしないといけません。

優秀な学生ほど、会社のビジョン、業界の将来展望、競争優位性、ビジネスモデルなどを知りたがっています。

よって、まず先に会社や業界のことを一番理解している社長やベテランの採用担当者からそれらを伝えて、理解させた後に、「こんな●●社を支えているのが、彼らです!」という風に若手社員を紹介し、若手社員から日々の仕事内容を伝えてあげると、学生はその企業の強みを知ったうえで、「この強みを作っているのは、社員の●●さんたちが、日々こんな仕事をしているからなんだ!」と理解も深まります。

また、親から「なんでその会社を受けてんの?」と聞かれた時にも説得力のある回答ができ、親への説得材料にもなります。

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第92回 モノよりコト。情報より体験。

12月2日(土)に、19卒向けのインターンシップ合説を開催しました。今回は集客に当たっての広告費は一円も使わずに、今まさに就活中である19卒の大学3年生16人に広報を手伝ってもらうことにしました。その結果、来場目標数を大きく上回ることができました。

学生がこの合説を友達に薦めるにあたって、このイベントの良さや、どう伝えればメリットを感じてもらえるかなどを学生自身が考えることによって、合説という場を、“自分ごと”として捉えてくれて、はりまっちの合説に対する想いやこだわりを、こちらが一生懸命語るよりも深く理解してくれたと思います。恐らくこの16人は、この合説に限らず今後も友達や後輩に、はりまっちを薦めてくれるでしょう。

企業様が開催するインターンや説明会も、情報を一方的に与えるだけではなく、たとえば、インターンの企画を考えるインターンや、自社説明会のプレゼンターになってもらうインターンなど、学生を巻き込み、社員になりきらせる体感型のコンテンツを用意するほうが、強い志望意欲の醸成に繋がると考えます。内定者フォローでも、内定式や入社式を自分たちで企画させたり、後輩たちの説明会の採用メンバーとして活動させたりするなど、学生が主体となってコンテンツの作り手側に回る企画のほうが、満足度も帰属意識も高まってきます。

いきなりそこまでやるのはハードルが高いと感じられる場合は、たとえば自社開催のセミナーの準備や片付けを一緒に手伝ってもらい、そのお礼として一緒に飲みに行って、奢ってあげるだけでも関係性は大きく変わると思います。

外国人観光客のお金の使い方が「爆買い」から「体験型」に変わり、CDが売れない一方で、ライブのチケット売上は右肩上がりに。この流れは採用現場にも起こっていると感じています。一方通行で与えるだけのコンテンツでは、強い志望意欲は生まれにくくなっており、体験型、参加型、共有型のコンテンツが求められています。

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第93回 「中小企業は人で惹きつけろ」の弊害。

「中小企業は規模や待遇では大手企業には勝てないから、人で惹きつけましょう」。採用担当者様なら、一度は聞いたことのある言葉ではないでしょうか。私たちも何度も伝えていることです。

しかしこの言葉だけを信じ、人だけで大企業と勝負してしまい、大敗を喫している企業様も多くいらっしゃいます。特に、履歴書やエントリーシート(以下ES)が期日までに届かなかったり、前日や当日に1次面接のキャンセルがあったり、内定を出しても簡単に辞退されたりするケースが目立っています。その大きな理由は、志望動機が言語化できないからです。学校指定の履歴書やESに志望動機欄がある場合、学生にとっては、まず書類提出が大きな難関になります。

会社説明会では、見栄えの良い若手社員やエース社員を登場させ、見事なプレゼンテーションを展開したり、優しくフレンドリーに接したりして、その場では学生の心を惹きつけることに成功したとしても、いざ志望動機を書くときに、人だけの魅力を伝えていては、「で、この会社は何が強みだったっけ?」 「どうやって儲けているんだっけ?」となり、志望動機が言語化できず、書類提出を断念する学生が続出しています。

これは、16卒から始まった就活解禁3ヶ月繰り下げが起因しています。就活が短期化されたことにより、ESの提出時期が集中するようになり、提出できる企業に限りが出てきました。そんな大変なES作成の中でも一番時間がかかるのが志望動機です。よって、心から受けたいと思える(志望動機を言語化できる)企業にしか物理的に提出できないという現状に陥っています。履歴書やESに志望動機欄が無いケースでは、比較的提出率は高めですが、それでもいざ面接となった際、志望動機を作れずにキャンセルをするケースも増えています。

また、「うちは志望動機は聞かないと宣言している」という企業様でも、内定後、親や先生から「どんな会社から内定をもらったのか」は聞かれます。そのときに「まぁ人が良かったから」などと曖昧なことしか答えられず、結局反対されて辞退するケースもあります。

それらを防ぐためには、きちっと志望動機が作れるように、まず競争優位性やコアコンピタンス、将来ビジョン、大企業には無い魅力などを明確に伝え、そのうえで人の魅力を伝えることが重要です。もっと言えば、「志望動機を一緒に作る会社説明会」や、「志望動機まで完成させる個別相談会」などを開くのも面白いと思います。

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第94回 人の心は、非効率な対応が動かす。

1月22日、衆参両院の本会議で安倍総理は「働き方改革」の断行に意欲を見せました。採用活動も今まで以上に効率化を図り、能率を上げ、労働生産性を高めていかなければいけません。しかし効率化に走りすぎると、採用活動においては支障が出るのではないかと危惧しています。

特に「メールの一斉送信」「会社が指定する日の会社説明会や面接の実施」「書類選考」「6名以上の集団面接」などは効率化を図った会社都合のやり方であり、知名度で勝負できない中小企業様は避けたほうがいいと考えています。 まず「メールの一斉送信」ですが、“みんなに送っているメッセージ”より、“私だけに送られたメッセージ”のほうが心に響きます。

「会社が指定する日の会社説明会や面接」は、その日に行けない学生は諦めるしかなくなります。個別面接であれば学生の都合と合わせながら設定するのが基本で、集団面接の場合も複数日程を提示し、それでも参加ができなければ個別対応をとることで、採用の可能性が広がります。

「書類選考」は、就活が短期化された現スケジュールでは避けたほうがいいでしょう。短期間に書ける履歴書やESの数には限りがあり、学生は知名度の高い企業5〜6社に出すのがやっとで、中小企業様の中には書類が届かないといったケースが一昨年から続出しています。

「6名以上の集団面接」では、一人ひとりとじっくり話すこともできず、合格だったとしても「何で受かったかわからない」という理由で次の選考を辞退するケースもあります。落ちた学生からは「あの会社最悪やで。私の何も分からずに落としやがった」などと悪評が流れる可能性もあります。

ここまで読んでいただき、「これらを辞めてしまったら、業務が回らない」とお感じになられた方もいらっしゃると思いますが、大切なのは取捨選択で、全ての業務を効率化するのではなく、今抱えている業務の中から、捨てても大丈夫な業務を見極め、やるべきことを絞り込み、“対ヒト”に関する業務だけは、徹底的に非効率に行うのがベストな方法です。人の心は、非効率な対応が動かします。これこそがAIに勝てる採用担当者だと考えます。

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第95回 合説で長々と説明すると、個別説明会の誘導率が下がる現実。

先日、用事で大阪に行くことがあり、その隙間時間にショッピングモールや百貨店に立ち寄ってみると、楽しくて、もっと居たくなりましたが、この日は時間が無く「今度は丸一日買い物だけを楽しもう」と決め、別日に再度訪れました。すると3時間程度で疲れて、飽きてしまい、そのまま帰ることとなりました。

3月1日に19卒向けの就職活動が解禁し、全国各地で合説が開催されています。はりまっちも、今日までで既に4回開催し、多くの企業様と学生にご参加いただきました。今年の合説で顕著だったのが、学生の企業訪問数の伸びです。昨年は平均3.6社だったのが、今年は5.3社と大幅に増えました。学生のアンケートには、「1社当たりの時間が短かったので、効率良く多くの企業を回れた」「昨日行った合説では説明の時間が長くて、疲れて2社しか聞けなかったが、今日は25分で統一されていたので、7社回っても疲れなかった」などといった意見が多く寄せられました。昨年は1回を30分としていたため、学生から「説明時間が長い」「1回の説明時間を短くしてもっといろんな会社を訪問したい」という意見が続出しました。そこで今年は25分に変更したところ見事に訪問社数が伸びました。

学生が合説に参加する目的は、複数の企業を比較検討することです。まだ興味を持っていない段階で、1社の説明を細かい内容まで長々と聞かされては、逆に志望度が下がり、個別の説明会へ行く意欲が薄れます。また、個別の説明会に参加した学生から「合説で聞いた内容とほとんど一緒で、意味なかった。それなら他行っとけば良かった」といった意見も、毎年よく聞きます。合説はあくまで興味喚起の場であり、個別の説明会に誘導するためのツールです。合説で長々と説明しても、学生は複数社の話を聞くので、細かい内容までは覚えていません。「もっと聞きたい!」と思うところで終えて、「もっと知りたい方は、個別の会社説明会で!」と誘導するのが合説の本当の活用方法です。

説明時間を各社に任せている合説でも、25分を目安にしてください。何事も「もっと」と思うタイミングで切り上げるのがポイントです。