人事コラム

第96回 履歴書やエントリーシートの提出は、内定後で十分。

知名度で勝負できない企業様が採用活動を成功させるためには、学生との出会いの初期段階で、高いハードルを課さないことが何よりも大切です。学生の志望度は、選考を進めていく過程で戦略的に高めていくものです。エントリーや会社説明会の段階では、学生は「とりあえず話を聞いてみよう」というレベルです。選考を受けにきたとしても、他にも多くの企業を受けていて、その中の1社に過ぎません。そんな状態からでも、戦略的に選考を重ねることで、最初はその他大勢の一社に過ぎなかったのが、最終面接終了後には、「この会社しかない」と思わせることもでき、それこそが採用担当者としての腕の見せ所です。

しかし実際には、個別説明会の後に履歴書を郵送させるケースや1次選考時に持参させている企業様が多くいらっしゃいます。出会ったばかりでまだ志望度が高まっていない学生にとって、志望動機を書く壁は非常に高く、志望順位の高い企業にしか履歴書を出せていないのが実情です。せっかく出会った学生と、履歴書を要求したことが原因で、お別れしてしまうのは非常にもったいないことです。

では、どうすればいいか。個別の説明会終了後のアンケートに、簡単な自己紹介の項目を入れておき、自己PRや学生時代頑張ったことなど、あらかじめ学生が回答を考えていることだけを書かせます。写真が必要な場合は、写真だけを持参させます。その書類を基に次回以降の面接をします。そして最終面接時、もしくは内定を出した後、ここでようやく提出をしてもらいます。内定後の場合は、「入社を承諾してくれるなら、履歴書を提出してください。志望動機など、迷うことがあれば一緒に考えましょう」と伝えます。提出があれば、承諾後の辞退の確率も非常に低いでしょう。逆に提出が遅れたり、志望動機について相談があれば、悩んでいる証拠です。スグにフォローを入れ、自社との接点や入社後のイメージ、期待していることなどをしっかり伝えてください。その対応や言葉に学生の心は魅かれ、承諾へと心が動いていきます。

このページのトップへ

第97回 成長を求める学生、甘やかす企業。

就活前半で出会う学生と後半で出会う学生とでは、対応を変える必要があります。前半戦に出会う学生は成長意欲や向上心が高く、それらが叶えられる企業を選ぶ傾向にあります。3年生の夏に参加するインターンシップも、成長系コンテンツが人気ランキング上位を占めます。
たとえば、知名度がそこまで高くないBtoB企業の「voyage」「Speee」「フリークアウト」「アチーブメント」などはランキングの常連で、毎年大勢の学生が殺到します。播磨エリアの学生も例外ではなく、満足度の高かったインターンを聞くと、やはり成長系と答えた学生が大勢いました。また、就職は地元の播磨でしたいけど、魅力的なインターンが無いという理由で、わざわざ大阪や東京の会社のインターンに参加する学生もいます。

満足度の高いインターンの内容は各社それぞれ違いますが、一つ共通していることがあります。
それは、目標の設定が秀逸な点です。実施するワークやシミュレーションゲームなどは、簡単にこなせるものではなく、全力で取り組んでやっとギリギリ達成できる絶妙な目標を設定しています。それが達成できれば自信が得られ、できなくても自分の現時点の実力が分かり、次にその企業に会うときには「成長した姿を見せたい」というモチベーションにつながります。

はりまっちでは、就活前半戦に「ドラフト会議」という就活イベントを開催しています。学生にグループディスカッションや面接を体験してもらった後に、企業様側からアドバイスをしていただくというイベントです。企業様は自社のPRも兼ねているため、アドバイスでは多くの場合「良かった点」や「できた点」にフォーカスして、優しくフィードバックをされています。
しかし、学生のアンケートでは「もっと厳しく指導して欲しかった!」という意見が多数寄せられており企業様の優しい対応は逆効果になっているようです。前半戦に出会う学生には、“厳しさ7”“優しさ3”で、後半戦はこの正反対の割合で接するのがベストだと感じます。前半に出会う学生には、勇気を持って厳しく接してみてください。

このページのトップへ

第98回 「Why型思考」が仕事を変える

会社説明会の集客力は「会社の魅力」×「広報力」です。インターンシップの集客力は、そこに「コンテンツの魅力」が入ってきます。つまり、インターンシップならコンテンツに魅力があれば、中小企業でも会社説明会では出逢えないような優秀な学生を集めることができます。

また、インターンシップは、良いインターンが実施できれば、採用の可能性が高まるばかりではなく、参加した学生の口コミ効果も期待でき、解禁後の採用活動も有利に働きます。世間一般的な知名度の高い企業に匹敵するくらい、就活生の間での知名度を高めることもできます。2020卒はインターンシップを制した企業が、採用活動を制すと考えます。ぜひ中小企業こそ、インターンシップにチャレンジしてください。コンテンツなどは私も一緒に考えます。ぜひお気軽にご相談ください。

また、近年企業同士のコラボインターンも盛り上がっています。たとえば、ネスレ日本とDMG森精機という異色コラボが実現したケースもあります。これは、外資系企業としての知名度が高い反面、技術系の人材を募集しているイメージが弱いネスレと、世界展開を進める上で海外勤務を志向する学生にもアピールしていきたい森精機のニーズが一致して実現。「アプローチするのが難しかった学生と接点が持てた」と両社とも満足だったそうです。

現実的でやりやすいコラボは、メーカーと商社と小売店3社のコラボです。たとえば、メーカーの企画職と商社の営業マンの企画会議や、商社の営業マンと小売店のバイヤーの交渉ワーク、メーカーの営業マンと小売店の売場担当者の商品陳列ワークなど、よりリアルなワークが実現します。

もしコラボ先として興味のある企業があれば、ぜひアプローチしてみてください。もちろん、私に相談していただければ 引き合わせさせていただきますし、こちらからも提案させていただきます。コラボインターンで、地域の企業同士がタッグを組み、播磨の企業の魅力が一人でも多くの学生に伝われば、これ以上嬉しいことはありません。

このページのトップへ

第99回 成功企業の表面だけを真似しても、上手くいかない。

「夏の思い出を作ろう。死ぬほど成長したという思い出を」
「ひと夏で、ひとは変わる」
「おそらく天才ではない君へ。努力の天才であれ」
これらは過去に放送された東進ハイスクールのCM中に流れたキャッチコピーです。受験生でもないのに毎年このCMを見るとワクワクして、心が躍ります。言葉は、人を動かす力を持っています。

採用活動でも、磨きぬかれた言葉を発信し続けることで、入社意欲を高めることができます。この東進のコピーは、夏インターンの集客の際にも参考になりそうです。ただ、他社の素晴らしいコピーを真似したり、方法論だけ取り入れたりしても、良い結果は出ないでしょう。このコピーが生まれるまでには、恐らく自社のUSP(ユニークセリングプロポジション/独自のウリ)を徹底的に考えたり、ペルソナを設計(仮想人物の設定/一人の人物が明確に想像できるまでターゲットを絞り込む)したり、両者の共感の接点はどこなのか、アイデアを練ったり、ディスカッションしたりして、ようやく生まれてきたものだと思います。

「How to say」より、「What to say」。
これは有名なコピーライター養成学校で一番初めに教えることです。多くの人は「How to say」に興味を持ちますが、良いコピーは「What to say」が徹底的に考えられています。

この時期、インターンのコンテンツに悩まれる企業様も多くいらっしゃいますが、これも同じで他社のコンテンツを真似しても上手くいきません。上手くいっている企業は、ビジョンやインターン開催の目的、ゴールが明確で、自社の魅力への落とし込み、採用までのリテンション(繋ぎとめ)まで完璧にデザインされています。その一部に過ぎないコンテンツだけを真似しても、何のメッセージ性もないインターンになってしまい、満足度は高められても、自社の採用に結びつけるのは難しいと思います。学生も本物か借り物かぐらいは見抜けます。ぜひ「What to say」から考えてみてください。

このページのトップへ

第100回 ビジョン無きHow toは通用しない。

採用活動では、どんな人が何人必要で、どの媒体を使うか、どのイベントに参加するかなどをいきなり考えがちです。しかしそもそも、「自社のあるべき姿は?」「自社はどこに向かっているのか?」といった、会社にビジョンが無いと、いくら綿密な採用計画を立てて、ベストな媒体を選んで、面接での動機付けや丁寧な内定者フォローを行っても、上手くいく可能性は低くなります。なぜなら、ビジョンを語らないと、現状の会社規模や給与、休日、待遇面で比べられてしまい、知名度が低く、福利厚生など条件的に不利な企業には勝機がないからです。

上手くごまかせて入社させても、社員の行動がバラバラになったり、日々の行動に迷いが生じたり、目の前の仕事に意義を見出せなくなったりし、少しの不満でも離職してしまう可能性が高くなります。採用も入社後の育成も、すべてビジョンから落とし込んで組み立てなければいけません。

「AbemaTV」や「アメーバブログ」を展開するIT企業のサイバーエージェントも、駆け出しの頃から「21世紀を代表する会社を創る」とビジョンを掲げ、それに共感する優秀な学生がメガバンクや総合商社を蹴って入社してきたそうです。「ユニクロ」や「ジーユー」を展開するファーストリテイリングも、売上高80億円ちょっとで知名度も低かった時代から「将来は米国のGAPを超えて、世界一のアパレルの製造小売業になる」というビジョンを掲げ、それに向けて共に戦ってくれる仲間を集めたそうです。

このように、両社とも知名度や福利厚生で勝負できない時代から、壮大なビジョンを恥ずかしげもなく本気で語り、優秀な人材を惹き付けてきました。ビジョンが共有できていれば、入社後も、日々の仕事に自分で意味を見つけることができ、指示を出さなくても、各々がビジョンに沿った適切な判断ができるようになります。

最後にソフトバンクの孫正義さんの言葉をご紹介します。「近くを見るから船酔いするんです。100キロ先を見てれば景色は絶対にぶれない。ビジョンがあれば、少々の嵐にもへこたれません。」